離婚訴訟における親権者の指定方法とは?

離婚と子供

離婚訴訟における親権者の指定方法とは?

親権者指定とは、子どもの親権者を父または母に指定することです。

父母の離婚時に子どもの親権を指定しなければならないことはよく知られていますが、それ以外にも親権者を指定することがあります。

親権者の指定には、法律上、親権者を定めなければならない場合と、親権者を定めることができる場合が規定されております。

■親権者を定めなければならない場合

父母の両方が子どもの親権者または子どもの親権者がいない状態で、父または母を親権者に指定する必要がある

■親権者を定めることができる場合

母が子どもの親権者になっている状態で、親権者を父に定めることが認められる

いずれも父母の協議で親権者を指定し、協議ができないまたは協議がまとまらない場合に、裁判所など,法的な手続を利用して解決を図ることになります。

親権者を定めなければならない場合と、親権者を定めることができる場合をまとめると、以下のとおりです。

親権者を定めなければならない 離婚時
離婚後に子どもが離縁した
婚姻が取り消された
親権者を定めることができる 離婚後に子どもが生まれた
子どもを認知した

では、親権者の指定はどのような事情を考慮して行われるのでしょうか?今回は親権者の指定について事例・判例を交えて説明します。

東京高判 昭和56年5月26日事例(判例)

本判例は、別居後に二男を父が監護している現実を考慮し、長男につき妻を、二男につき夫を親権者と指定したものです。

【事実】

夫と妻には、昭和44年8月長男一郎が、昭和48年4月二男二郎が生まれました。昭和51年ころから夫婦仲が悪化し、昭和52年2月に、妻は、長男、二男を残したまま家を飛び出し、同年11月には家に帰りました。昭和53年8月に、妻は、離婚調停を申し立て、実家に帰りました。

その際、2人の子供に妻とともに夫方を出るかどうかたずねたところ、長男は妻と同行することを望み、二男は夫方に残ることを望んだので、妻は、長男のみを連れて実家に戻り、以来、夫が二男を、妻が長男を養育しています。

夫は、二男と2人暮らしで、農業協同組合に勤務し、二男は昭和55年春に小学校に入学しています。夫方の近くに夫の姉が1人で暮らしており、この姉や兄も二男の世話をしている。

夫は、妻に対して、離婚等を求める訴訟を提起しました。

【判旨】

本件においては、このように既に夫と妻は完全に別居し、その子を1人ずつ各別に養育するという状態が2年6月も続いており、その間、それぞれ異なる生活環境と監護状況の下で別居。

当時、5歳4月であった。二男は8歳近くになって小学校1年生を終えようとしており、9歳になったばかりで小学校3年生であった長男は11歳半となり、やがて5年生を終ろうとしている状況にある。

離婚に際して子の親権者の指定をする場合、特に低年齢の子の身上監護は一般的に母親に委ねることが適当であることが少なくないし、前記認定のような夫側の環境は、監護条件そのものとしては、妻側の環境に比し弱点があることは否めないところではある。

しかし、夫は、前記認定の通り、昭和53年8月以降の別居以前にも、妻の不在中、4歳前後の頃の二男を約8か月間養育したこともあって、現在と同様な条件の下で二男と過ごした期間が長く、同人も夫によくなついていることがうかがえる。

そのうえ、長男についても、二男についても、いずれもその現在の生活環境、監護状況の下において不適応を来たしたり、格別不都合な状況が生じているような形跡は認められないことに照らすと、現時点において、それぞれの現状における監護状態を変更することはいずれも適当でないと考えられるから、長男の親権者は妻と、二男の親権者は夫と定めるのが相当である。

判例・事例のまとめ

親権者の指定については、監護能力の他、様々な事情が考慮されます。例えば、本判例が考慮した監護の現状、子の意思、母性の必要性、子の奪取の違法性などです。