養育費の不払い・未払いに朗報。2020年(令和2年)4月から給与や預金などの差し押さえが容易になる?改正民事執行法とは?

離婚とお金・財産

養育費の月々の支払い金額や支払い方法など取り決めた内容を文章などでしっかりと記録しておくことですが、厚生労働省のデータによると、養育費の取り決めをしたなかで、文書なしで取り決めを行なったケースの率は26.3%となっておりました。

離婚の際に子どもの養育費の取り決めをしていたとしても、相手の経済状況の変化など、諸事情により養育費の支払いがされなくなることもあります。

※養育費の不払い・未払いについてはこちらの記事でも解説しております。https://www.xn--zdkza5c239oubbba867bmuuxq2k.com/rikon_money/271/

 

もしも養育費の支払いが滞った際に、子どもの親である離婚相手と支払いに関して話し合うことができる関係であれば、再度養育費の支払いを請求することができる可能性も高いと思います。しかし、離婚後は関係が疎遠になることが多く、音信不通になってしまうケースも少なくありません。

もしも、相手方が取り決めた養育費の支払いを拒否した際など、養育費の不払い・未払いを解消するためには、相手の財産への強制執行を検討することになります。

これまでは、預貯金や給与を差し押さえを行い、強制執行を行うためには、勤務先や預貯金口座の金融機関の支店名を特定する必要がありました。離婚相手との関係が、強制執行をしなくてはならない状況になってしまった状況では、相手の勤務先や銀行口座を有する金融機関の支店名を把握することは困難であると思います。なぜなら、この仕組みを逆手にとり、養育費を支払わないために相手側が転職などで勤務先を変更したり、預金口座を変更してしまう問題もあったからです。

このような問題点を解消するためにも、2020年(令和2年)4月1日に施行される改正民事執行法では債務者の財産を開示する制度が変更されています。今回は、法改正により養育費の不払い・未払い問題に対してどのような変化があるかを解説していきます。

改正民事執行法とは

2020年(令和2年)4月1日から施行される民事執行法の改正で、養育費の不払い・未払い問題に大きく影響する部分は大きく分けて2点です。

①これまでの財産開示手続きの見直し

養育費の支払い要項を取り決めた公正証書があれば、開示手続きを請求できるように見直されました。つまり離婚時に養育費の取り決めを行う公正証書の作成が2020年(令和2年)4月以降は、より重要になりますので、読者の皆様はこちらのポイントは押さえておく必要があります。

過去の記事でも記載してますが、厚生労働省のデータによると、養育費の取り決めをしたなかで、文書なしで取り決めを行なったケースの率は26.3%となっておりました。

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 17 養育費の状況よりデータ参照

また、罰則も見直されています。養育費を請求する側が裁判所に申し立てることによって実施される「財産開示手続」に正当な理由なく出頭しない、嘘の回答をした場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

これまでは、債務者が適切に応じない場合の罰則が30万円以下の過料(※過料とは行政罰の一種で、刑事罰ではなく、罰せられても前科はつかないため、罰金を支払うだけで済んでしまうのが実情。)と軽かったため、「財産開示手続」は有効に機能しているとは言いがたい状況でしたが、2020年(令和2年)4月1日から施行される民事執行法の改正では、請求面と被請求面での改善を見込み改正が施行されました。

②債務者以外の第三者からの情報取得手続きが可能に

今回の改正で新たに制度として作られた「第三者からの情報取得手続」により、裁判所から銀行の本店に情報照会をして、相手の銀行口座がどの支店にあるのか調べられるようになりました。銀行口座を裁判所に回答したことは、相手方(不払い・未払いの本人)へも通知が届きます。しかし、本人通知の前に素早く差し押さえ手続きを取ることで、相手方の銀行預金から養育費を回収することが可能になります。

この制度を利用すれば、養育費の支払い義務を負う離婚相手(債務者)が転職したり、銀行口座を移したりしていても情報を取得することができ、問題点として記載した隠していた財産を見つけられるといった点の解決の糸口になる可能性があるので、養育費の不払いに対する強制執行が実現しやすくなると思われます。

まとめ:養育費の不払い・未払い問題には執行認諾文言付き公正証書の作成が重要に!

改正民事執行法は2020年(令和2年)4月から施行されますが、それ以前に離婚し、養育費不払い・未払いが起きていた内容にもこの制度は利用できます。

ただし、協議離婚の場合は「執行認諾文言付き公正証書」が必要です。

「執行認諾文言付き公正証書」とは、「もし不払いがあったら差し押さえされてもいい」という文言が記載された公正証書です。

今回の法改正で新たに設定された「第三者からの情報取得手続」では、執行認諾文言付き公正証書であれば、すぐに銀行に未払い親の口座情報を照会することが可能になりました

つまり、執行認諾文言付き公正証書があることで、養育費の不払い・未払い問題は解決できる可能性が大幅に向上するため、離婚時には養育費不払い・未払いの心配があるなしにかかわらず執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことが重要です。

公正証書を作ったものの「執行認諾文言」を入れていない場合は「第三者からの情報取得手続」は利用できませんので注意が必要です。

養育費の不払い・未払い問題にお悩みの際は、改正された民事執行法について調べ、利用を検討してみるのもよいと思います。このような際には離婚問題に強い弁護士など法律のプロに相談してみるのもよいと編集部では考えております。

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